塩焼き消石灰
2024/12/04
漆喰の主成分は消石灰です。
この消石灰はどのようにして作られているのか、
今回は昔ながらの製法である塩焼き消石灰についてご紹介します。
塩焼き消石灰とは、石灰石を焼成する際に0.1~0.3%の塩を加えたことに由来する消石灰です。
特に塩を0.3%以上加え、十分な消化・分級を経たものは、建材として重要文化財の修復などに用いられます。
これが石灰石です。
奥にある山はすべて石灰石です🪨
生産効率が向上現在でも、塩焼き消石灰が主として建築用として必要とされている理由
1.割れにくい
海辺の砂浜は、干上がってもひび割れません。
これは砂粒が大きく、乾燥による収縮に強いためです。
塩焼きで得られた消石灰は粒径が大きいため、漆喰への加水量を少なくできます。
その結果、乾燥収縮を抑え、割れにくい壁を作ることができます。
2.高白度
塩焼きの際、投入された塩は石灰石中の鉄分と反応し、塩化鉄として揮発します。
この不純物の除去によって、より高白度の漆喰壁が仕上がります。
3.塗りやすい
左官職人にとって、材料の選定がその仕上がりに影響を与えます。
塩焼きの消石灰の粒子は大きいので粒子間の空隙も大きく、嵩高になり、作業性が向上します。
4.身体に優しい
漆喰は昔、化粧材と呼ばれる高級建材でした。
現代の樹脂のような接着剤がなかった当時、亀裂防止のために消石灰に麻スサを加えており、その技術は今も続いています。
漆喰は自然素材のみで作られ、身体にも優しい素材です。
塩焼き消石灰は、その優れた特性により、今も多くの建築や修復作業で使用されています。
割れにくく高白度で、作業もしやすいこの素材は、自然素材を大切にした漆喰にぴったりです。
これからも、塩焼き消石灰がもたらす美しさと強さに注目していきたいですね。